リード文
「大分合同新聞に載るのは、大手企業だけの話でしょう?」――そう思い込んでいる大分の起業家の方は、実はとても多いのではないでしょうか。広告を出すには予算が足りない、SNSもまだフォロワーが少ない、Webサイトもアクセスが伸びない。創業期の集客には、悩みがつきものです。
しかし、地元メディアの記者の方々は「地元の元気な話題」を常に探しています。プレスリリースを正しく書き、適切に届ければ、創業1年目の小さな会社でも新聞や地元テレビに取り上げられる可能性は十分にあります。実際、大分市内の小規模事業者でも、地元紙の経済面や地域面に紹介されるケースは少なくありません。
この記事では、中小企業診断士の視点から、大分の起業家・個人事業主の方が地元メディアに掲載されるためのプレスリリースの書き方を、基礎から実践まで解説します。「大分 シェアオフィス」を運営する立場として、これまで多くの創業者の広報を見てきた経験を踏まえ、明日から使えるノウハウをまとめました。
地元メディアに載るとビジネスはどう変わるか
「メディアに載っても、すぐに売上が上がるわけではないのでは?」――確かにその通りで、プレスリリース掲載は即効性のある広告ではありません。しかし、中長期的なビジネス成長において、地元メディア露出は3つの大きな効果をもたらします。
信用力が一気に高まる
大分合同新聞や地元テレビ局に取り上げられたという事実は、それ自体が強力な「第三者の保証」となります。広告は自分で発信した情報ですが、メディア記事は記者という専門職が「価値ある情報」と認めて報じたものです。この差は、初対面の見込み客や金融機関、取引先からの信頼を獲得するうえで決定的です。
特に大分のような地方都市では、「地元紙に載っていた会社」というだけで、商談の入り口がぐっと開きやすくなります。創業期の信用力ゼロからのスタートにとって、これは何よりも価値のある資産です。
新規顧客への認知が広がる
大分合同新聞の発行部数は地域内で大きなシェアを持ち、特に経営者層・地域の有力者層によく読まれています。SNS広告では届きにくい「決裁権を持つ層」へのリーチが、メディア掲載なら一度で実現します。
被リンク・SEO効果で長期的な集客資産になる
地元メディアのWeb版に掲載されると、自社サイトへの被リンクや言及が生まれ、検索エンジンからの評価も高まります。「大分 〇〇」と検索したときに上位表示されやすくなり、半年・1年後の集客に効いてくる「ストック型」の資産となります。
大分の主要地元メディアと特徴
プレスリリースを送る前に、大分にはどんな地元メディアがあり、それぞれどんな情報を求めているのかを把握しておきましょう。媒体ごとの特性を理解することが、掲載率を高める第一歩です。
大分合同新聞
大分県を代表する地元紙で、県内全域に広く読まれています。経済面・地域面・くらし面など、起業家にとって入り込めるコーナーが複数あります。地域に根ざした話題、創業ストーリー、新サービスの開始などが取り上げられやすい傾向です。
OBS大分放送
ラジオとテレビを持つ大分の老舗放送局です。ニュース番組や情報番組内で、地域の話題が紹介される機会が多くあります。特に映像映えする取り組み、地域貢献性のあるイベントなどは映像化されやすいテーマです。
TOSテレビ大分
夕方のニュース番組や情報番組で、地域の人物・企業の紹介コーナーがあります。ストーリー性のある起業家、ユニークな商品・サービスとの相性が良い媒体です。
OAB大分朝日放送
地域ニュースや特集枠で、大分の経済・暮らしに関する話題を取り上げています。社会性・公益性のあるテーマに強い印象があります。
ローカルWebメディア・自治体広報
「大分合同新聞」のWeb版に加え、地域情報サイト、大分市・大分県の広報誌、商工会議所の会報など、紙・電波以外の地元メディアも数多く存在します。これらは新聞・テレビと比べて掲載ハードルがやや低く、創業期の最初の露出としておすすめです。
プレスリリースの基本構成と書き方
プレスリリースには、業界で標準化された「型」があります。記者の方々は毎日大量のプレスリリースを処理するため、型から外れたものは内容を読む前に弾かれてしまうことも珍しくありません。次の構成を必ず押さえてください。
1. ヘッダー部分(最上部)
最上部には次の情報を必ず記載します。
- 発信日(YYYY年M月D日)
- 発信元の会社名・屋号
- 「報道関係者各位」または「報道関係者の皆様へ」の一言
2. タイトル(最重要)
タイトルは記者が「読むか・捨てるか」を3秒で判断する最重要要素です。次の3点を意識しましょう。
- 30〜40字以内に収める
- 5W1H(誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どうやって)のうち最低3つを入れる
- 数字を1つ以上入れる(「県内初」「3周年」「100名突破」など)
例:「【大分市】中小企業診断士が運営するシェアオフィス、創業1年で利用者100名突破」
3. リード文(タイトルの直下、3〜5行)
タイトルを補足し、記事全体の要約となる100〜150字程度の文章を置きます。記者がここを読んで「面白そう」と感じれば、本文に進んでくれます。5W1Hを完結に盛り込みましょう。
4. 本文(詳細情報)
リード文の後に、詳細な背景・経緯・特徴・データなどを記載します。次の順序が基本です。
- 発表の背景(なぜ今これをやるのか)
- 具体的な内容(何をやるのか)
- 期待される効果・特徴(読者・社会にとっての意義)
- 代表者コメント(人間味を出す)
- 会社概要・今後の展望
5. 写真・素材
文字だけのプレスリリースは、視覚情報がなく取り上げにくくなります。スマートフォンの写真でも構わないので、必ず1〜2枚は画像を添付しましょう。代表者の顔写真、商品・サービスの写真、施設の外観などがおすすめです。
6. 連絡先(最下部)
問い合わせ先(担当者名・電話番号・メールアドレス・取材対応可能日時)を必ず明記します。記者は締切に追われているため、連絡が取れない発信元のプレスリリースは即座に弾かれます。
A4・1枚に収めるのが基本
プレスリリースは原則A4・1枚で完結させ、詳細資料は別添とします。長文は嫌われます。
地元メディアに採用されやすい4つの切り口
「うちには新聞に載るような話題なんて……」と思う方も多いのですが、視点を変えるだけでニュースバリューは生まれます。地元メディアが好む4つの切り口を覚えておきましょう。
1. 地域性(大分らしさ)
「大分産の食材を使った」「大分市末広町で初の試み」「県内事業者と連携した」など、大分という地域に根ざした要素は、地元メディアにとって最も採用しやすい切り口です。同じサービスでも「大分初」を冠するだけで、ニュース性は跳ね上がります。
2. 社会性(公益性・課題解決)
「大分の創業者の孤独解消に貢献」「地域経済の活性化につながる」など、自分のビジネスが社会課題の解決にどう寄与するかを示せると、メディアの掲載動機が強まります。SDGs、地方創生、雇用創出、子育て支援などのテーマと結びつけられないか考えてみましょう。
3. 新規性(初・新・最年少)
「県内初」「業界初」「大分最年少」「過去最大規模」など、何かしらの「初」「新」を打ち出せるとニュース性が高まります。完全に新しい必要はなく、「大分で初めて」「この業界で初めて」など、限定条件をつければよいのです。
4. 人物ストーリー(人間味・情熱)
特にテレビ媒体に強い切り口です。「会社員からの転身」「子育てしながら起業」「地元に戻って創業」など、代表者の人生ドラマを前面に出すと、人間味のあるストーリーとして取り上げられやすくなります。
プレスリリースの送り方と注意点
良いプレスリリースを書いても、届け方を間違えると掲載率は大きく下がります。送付方法・タイミング・フォローまで含めて戦略的に取り組みましょう。
送付方法はメールが基本、FAX併用も有効
現在はメール送付が主流です。各メディアの「報道関係者向け窓口」や代表メールアドレス宛に、本文に概要を貼り付け、PDF版を添付するのが一般的です。ただし、大分の一部地元メディアではFAXも併用されており、メール+FAXの両方で送ると確実性が増します。郵送は速報性に欠けるため、特別なケース以外は不要です。
タイミングは「2週間前〜直前」がベスト
発表日の2週間前〜3日前を目安に送付するのが基本です。新聞は前日のニュース判断、テレビは収録の段取りに時間がかかるため、ギリギリすぎると取り上げられません。逆に1か月以上前だと記者の手元に埋もれてしまいます。
曜日・時間帯にも配慮を
月曜午前と金曜午後は記者が多忙な時間帯です。火・水・木曜の午前中(10〜12時)の送付がおすすめです。
送りっぱなしにせず、電話で1回だけフォロー
メール送付後、2〜3日経っても反応がなければ、担当部署に1回だけ電話で「届いていますでしょうか」と確認するのも有効です。ただし、しつこい催促は逆効果なので、1回限りに留めましょう。
掲載されなかったときの姿勢
プレスリリースの掲載率は、一般的に10〜20%程度と言われています。1回で諦めず、ネタを変えて何度もチャレンジすることが大切です。記者の方も「継続して情報をくれる発信元」を覚えていてくれるものです。
ユナイテッドシェア大分の活用例
ユナイテッドシェア大分は、大分駅から徒歩5分の創業支援特化型シェアオフィスです。実は、シェアオフィスという場は、プレスリリース戦略を考えるうえでも大きなメリットがあります。
まず、登録された住所が「大分市末広町」という大分駅近隣の所在地となるため、地元メディアにとっての「大分市内の事業者」としての位置づけが明確になります。バーチャルオフィスや自宅住所と比べ、取材時の受け入れ場所としても使いやすく、記者から「取材に伺いたい」となった際にも対応がスムーズです。
また、運営する合同会社白眉コンサルティング 代表 堀 寿弘(中小企業診断士・応用情報技術者)は、プレスリリースの書き方や広報戦略の相談にも応じています。「初めてプレスリリースを書く」「どの切り口で打ち出すべきか分からない」という方は、入居者特典として診断士に相談できる環境を活用してください。
さらに、入居者同士の交流から「合同プレスリリース」が生まれることもあります。複数の事業者が連携した取り組みは、単独発信よりもニュース性が高まり、掲載率も上がります。
こんな方におすすめ(利用シーン)
地元メディア露出を狙うプレスリリース戦略は、特に次のような大分市内の起業家・経営者の方におすすめです。
創業1〜3年目で認知を広げたい方
広告予算が限られる創業期にこそ、プレスリリースは費用対効果の高い広報手段です。「大分で起業した」というだけでもニュース性があるタイミングを逃さず、地元メディアに発信していきましょう。
新商品・新サービスを発表する方
新サービスのリリース、新店舗の開店、新拠点の開設などは、王道のプレスリリースネタです。SNS発信だけで終わらせず、必ずプレスリリースとセットで動きましょう。
イベント・セミナーを開催する方
地域住民向けのイベント、無料セミナー、ワークショップなどは「告知記事」として地元メディアに取り上げられやすいテーマです。開催の2〜3週間前を目安にプレスリリースを送りましょう。
受賞・認定を獲得した方
何かしらの賞を受賞した、認定制度に登録された、行政との連携が決まったといった話題は、極めてニュース性が高い情報です。すぐにプレスリリースを準備しましょう。
よくある質問 FAQ
Q1. プレスリリースを作成するのに費用はかかりますか?
A. 自分で作成する場合の費用はゼロです。PR会社や広報代行に依頼する場合は1本数万円〜数十万円かかりますが、創業期は自分で書くことをおすすめします。書き方を覚えることで、長期的な広報スキルが身につきます。
Q2. 一度に何媒体に送ってよいですか?
A. 関連する媒体すべてに同時送付して問題ありません。大分の主要メディア(新聞・テレビ・ラジオ・地域情報サイト)に一斉送信するのが一般的です。「他媒体にも送っています」と書く必要もありません。
Q3. 取材依頼が来たら、どう対応すればよいですか?
A. まずは取材日時・場所・所要時間・取材形式を確認し、できるだけ柔軟に対応しましょう。取材当日は、プレスリリースに書いた以上の具体例・エピソード・写真素材を準備しておくと、記者の方に喜ばれます。
Q4. プレスリリースに広告的な表現を入れてもよいですか?
A. 「業界最安値」「絶対に成功する」などの誇大表現は避けるべきです。プレスリリースはあくまで「客観的な事実」を伝えるものです。広告的な表現が多いと、記者から「広告として広告料を払ってください」と判断されてしまいます。
Q5. プレスリリース配信サービスは使うべきですか?
A. PR TIMESなどの全国向け配信サービスは、SEO効果や全国メディアへのリーチには有効ですが、有料プランは月数万円かかります。創業期は、まず大分の地元メディアに直接メール送付するところから始め、軌道に乗ってから配信サービスの活用を検討するのが現実的です。
まとめ
地元メディア掲載は、創業期の大分の起業家にとって、信用力・認知度・SEO効果を一度に獲得できる極めて費用対効果の高い広報手段です。「大手企業しか載れない」というのは思い込みであり、正しい型で書き、適切なタイミング・方法で届ければ、小さな会社でも十分に掲載のチャンスがあります。
ポイントは、5W1Hと数字を盛り込んだタイトル、A4・1枚に収めた本文、地域性・社会性・新規性・人物ストーリーのいずれかの切り口、そして写真と連絡先の明記です。送付後は1回だけ電話フォローし、掲載されなくても次のネタで継続的にチャレンジしましょう。
ユナイテッドシェア大分では、こうした広報戦略の相談にも中小企業診断士が対応しています。一人で悩まず、専門家の知見を活用して地元メディアデビューを実現しませんか。
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