「創業融資は日本政策金融公庫がメインって聞くけど、地元の銀行からも借りられるの?」
起業を考えている方の多くが、資金調達の方法として最初に思い浮かべるのは日本政策金融公庫でしょう。
しかし、大分銀行や豊和銀行といった地元の金融機関でも、創業者向けの融資を受けることは可能です。
地元銀行で創業融資を受けるメリットは、事業を続けていくうえで長期的な信頼関係を築けること。
創業期から地元金融機関と付き合いがあると、事業拡大時の追加融資や日常的な経営相談でも心強いパートナーになってくれます。
この記事では、大分銀行・豊和銀行をはじめとする地元金融機関で創業融資を受けるための相談の進め方を中小企業診断士の視点から解説します。
地元銀行で創業融資を受ける仕組み ― 信用保証協会の役割
まず知っておいていただきたいのが、地元銀行での創業融資の仕組みです。
創業者は原則として「実績がない」ため、銀行にとって融資はリスクの高い判断です。
そこで活用されるのが大分県信用保証協会の「信用保証制度」です。
信用保証制度の仕組み
- 創業者が銀行に融資を申し込む
- 銀行が大分県信用保証協会に保証を依頼する
- 信用保証協会が審査を行い、保証を承諾する
- 銀行が融資を実行する
- 万が一、返済が困難になった場合は、信用保証協会が銀行に弁済する(代位弁済)
つまり、信用保証協会が「保証人」の役割を果たすことで、実績のない創業者でも銀行から融資を受けられるようになるのです。
ただし、保証料(融資額に対して年0.5〜2%程度)がかかる点と、代位弁済された場合でも創業者の返済義務がなくなるわけではない点は理解しておきましょう。

日本政策金融公庫と地元銀行、何が違う?
創業融資の選択肢として、日本政策金融公庫と地元銀行の違いを整理します。
| 比較項目 | 日本政策金融公庫 | 地元銀行(保証協会付融資) |
|---|---|---|
| 審査の主体 | 公庫自身 | 銀行+信用保証協会 |
| 保証人 | 原則不要 | 信用保証協会が保証 |
| 金利 | 年2%前後(制度による) | 年1〜3%程度+保証料 |
| 審査期間 | 約2〜4週間 | 約3〜6週間 |
| 融資上限 | 最大3,000万円(新規開業資金) | 制度により異なる |
| 口座開設 | 不要 | 当該銀行の口座が必要 |
| 地域密着度 | 全国一律 | 地域に密着した対応 |
結論として、「日本政策金融公庫と地元銀行の両方に申し込む」のが王道戦略です。
日本政策金融公庫で基本的な創業資金を確保しつつ、地元銀行でも融資を受けることで調達額を増やせます。
また、地元銀行との取引関係を早い段階で作っておくことは、将来の資金調達においても大きなメリットになります。
大分銀行での創業融資
大分銀行は、大分県内最大の地方銀行です。創業者向けの融資制度や支援サービスを提供しています。
大分銀行が提供する主な創業支援
- 大分県制度融資(創業関連)の取り扱い: 県の利子補給により低金利で融資を受けられる
- プロパー融資(独自の創業融資): 大分銀行独自の審査基準で創業者に融資
- ビジネスマッチング支援: 取引先の紹介や情報提供
大分銀行に相談する際のポイント
- まずは最寄りの支店に電話予約する: いきなり窓口に行くよりも、事前に予約して「創業融資の相談がしたい」と伝えましょう
- 事業計画書を持参する: 口頭だけの説明ではなく、書面で計画を示すことで話がスムーズに進みます
- 個人の口座を先に開設しておく: 融資実行には大分銀行の口座が必要です。相談前に口座を開設しておくとよいでしょう
豊和銀行での創業融資
豊和銀行は、大分県に本店を置く第二地方銀行です。
地域密着型の営業スタイルで、中小企業や個人事業主への融資に積極的な姿勢を持っています。
豊和銀行が提供する主な創業支援
- 大分県制度融資の取り扱い: 大分銀行と同様、県の制度融資を利用した創業融資が可能
- 創業者向け相談窓口: 各支店で創業に関する相談を受け付けている
- 地域イベントへの協賛・参加: 地域の創業支援イベントに積極的に関わっている
豊和銀行に相談する際のポイント
- 地域密着型ならではの親しみやすさを活かす: 豊和銀行は比較的少額の融資にも柔軟に対応してくれるケースがあります
- 支店の担当者との関係を大切にする: 担当者に自分の事業への思いを直接伝えることで、融資以外の面でもサポートを得やすくなります
- 大分県信用保証協会との連携がスムーズ: 保証協会付融資の取り扱いに慣れているため、手続きの流れがスムーズです
創業融資の相談 ― 具体的な進め方
大分銀行・豊和銀行に限らず、地元金融機関で創業融資の相談を進める際の一般的なステップをご紹介します。
ステップ1:事前準備を整える
相談に行く前に、以下の書類・情報を準備しておきましょう。
必須の準備物:
- 事業計画書(創業計画書)
- 資金計画表(必要資金と調達方法の内訳)
- 収支計画表(月別の売上・経費・利益の見通し)
- 自己資金の確認資料(通帳のコピーなど)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)

あると望ましいもの:
- 見込み客のリストや受注の内諾書
- 業界の市場データ(自分の事業の裏付け)
- 資格証明書(事業に関連する資格がある場合)
- 前職の経歴書(事業に関連する経験の証明)
ステップ2:支店に電話で予約する
銀行の窓口は混雑していることが多く、飛び込みで相談に行っても十分な時間が取れないことがあります。
事前に電話で「創業融資について相談したい」旨を伝え、日時を予約しましょう。
予約の際に聞いておくとよいこと:
- 相談に必要な持ち物
- 対応してくれる部署・担当者名
- 相談にかかる時間の目安
ステップ3:初回面談で事業計画を説明する
初回の面談では、以下の内容を中心に説明することになります。
- 事業の概要: 何をするビジネスか
- 創業の動機: なぜこの事業をやるのか
- 自分の経歴・強み: なぜ自分がやるのか
- 資金の使い道: 借りたお金をどう使うのか
- 返済の見通し: どうやって返していくのか
面談は堅苦しいものではありませんが、ビジネスの話ですので、きちんとした服装で臨み質問には誠実に答えましょう。
わからないことを聞かれた場合は、無理に答えるよりも「確認してお伝えします」と正直に回答する方が好印象です。
ステップ4:銀行と信用保証協会の審査
融資の申込みが受理されると、銀行と信用保証協会の両方で審査が行われます。
銀行の審査ポイント:
- 事業計画の実現可能性
- 申請者の信用情報
- 返済能力
信用保証協会の審査ポイント:
- 事業計画書の内容
- 自己資金の額
- 資金使途の妥当性
審査の過程で、追加の書類提出や面談を求められることがあります。
迅速に対応できるよう、連絡が取りやすい状態にしておきましょう。
ステップ5:融資実行
審査が通れば、融資が実行されます。
融資金は銀行口座に振り込まれますので、事前に口座を開設しておく必要があります。
融資実行後も、資金の使い道は当初の計画どおりに行いましょう。
資金使途が計画と大きく異なる場合は、契約違反となる可能性があります。
融資の面談で好印象を残すための5つのコツ
コツ1:事業への情熱を伝える
審査担当者は「この人は本気でこの事業をやるのか」を見ています。
事業にかける想いやなぜこのビジネスに取り組むのかを、自分の言葉で熱く、しかし冷静に語りましょう。
コツ2:数字で語る
「頑張ります」「自信があります」という精神論だけでは不十分です。
「月間〇件の受注を見込んでおり、単価は△万円なので、月商は□万円になる見通しです」というように、具体的な数字で語ることが重要です。
コツ3:リスクにも触れる
「うまくいかなかった場合はどうするのか」という質問は、ほぼ必ずされます。
楽観的な見通しだけでなく、リスクシナリオとその対策も準備しておきましょう。
コツ4:正直に答える
知らないことを聞かれて適当に答えると、信頼を損ねます。
わからないことは「確認して改めてお答えします」と伝える方がはるかに好印象です。
借入の状況なども正直に申告しましょう。
コツ5:清潔感のある身だしなみで
面談はビジネスの場です。スーツまでは必要ありませんが、清潔感のある身だしなみで臨みましょう。
第一印象は審査に直接影響しないとはいえ、心証は大切です。
融資を有利に進めるために ― 事前に取り組んでおきたいこと
自己資金をコツコツ貯める
自己資金の額は融資審査の重要なポイントです。
毎月少しずつでも貯蓄し、通帳にその履歴を残しておきましょう。
「計画的に準備してきた」ことが伝わります。
一度に大きなお金が入金される「見せ金」は、審査でマイナスに働くことがあるので避けてください。
信用情報をきれいに保つ
融資審査では個人の信用情報が確認されます。
クレジットカードの支払い遅延、携帯電話料金の滞納などがあると、審査に悪影響を及ぼします。
創業を見据えて、日頃からの支払いをきちんと行いましょう。
特定創業支援等事業の証明書を取得する
大分市が認定する「特定創業支援等事業」を受講し、証明書を取得しておくと、日本政策金融公庫の貸付利率が提言されるなどの優遇措置が適用されます。
大分商工会議所などが開催している「創業セミナー」で受講可能です。
日本政策金融公庫にも並行して相談する
日本政策金融公庫の融資を受けられると、地元銀行の審査にもプラスに働くことがあります。
「公庫でも融資が決まっている」という実績があると、銀行側も安心して融資を検討しやすくなります。

こんな方におすすめ
- 大分市内で事業を始める方で、地元金融機関との関係を築きたい方: 創業期から銀行との付き合いを始めることで、将来の事業拡大時に追加融資を受けやすくなります
- 日本政策金融公庫だけでは資金が足りない方: 公庫と地元銀行の両方から融資を受けることで、必要な資金を確保できます
- 大分県の制度融資を活用したい方: 大分銀行や豊和銀行を通じて、県の低金利融資制度を利用できます
- 融資面談に不安がある方: 事前の準備と心構えを知っておくだけで、面談の質は大きく変わります
よくある質問(FAQ)
Q. 大分銀行と豊和銀行、どちらに相談すべきですか?
A. どちらか一方に絞る必要はありません。
両方に相談して、条件や対応を比較したうえで判断するのも一つの方法です。
金利や融資条件は個別の事情によって異なりますので、実際に相談してみることが大切です。
Q. 創業前でも融資相談はできますか?
A. はい、創業前の段階から相談可能です。
むしろ、創業前に相談しておくことで、必要な準備や書類を把握でき、スムーズに融資申請を進められます。
Q. 自己資金はいくらあれば融資を受けられますか?
A. 明確な基準は公表されていませんが、一般的には融資希望額の3割程度の自己資金があると審査が通りやすいとされています。
自己資金が少ない場合でも、事業計画の内容次第で融資を受けられる可能性はあります。
Q. 保証協会の審査に落ちたらどうなりますか?
A. 保証協会の審査が通らなかった場合、銀行からの融資は原則として受けられません。
ただし、審査が通らなかった理由を確認し、事業計画書の改善や自己資金の増額を行って再申請することは可能です。
Q. 融資の相談は無料ですか?
A. はい、銀行での融資相談自体は無料です。融資が実行された場合に金利や信用保証料が発生します。
まとめ
大分銀行・豊和銀行で創業融資を受けるための流れは、以下のとおりです。
- 事前準備: 事業計画書・資金計画表・収支計画表を作成する
- 予約: 銀行の支店に電話で相談日時を予約する
- 面談: 事業計画を説明し、融資の相談を行う
- 審査: 銀行と信用保証協会の審査を受ける
- 融資実行: 審査通過後、口座に融資金が振り込まれる
地元銀行との関係は、創業期に始まり、事業が成長していく中で長く続くものです。
融資は単なる「お金を借りる」行為ではなく、ビジネスパートナーとしての信頼関係を築く第一歩です。
事前準備をしっかり行い、自信を持って相談に臨みましょう。

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